恐っわ、温泉。

昔々のことじゃった。

北の大地の、さらに北の奥まった小さな町に温泉宿あったんじゃ。


そこの湯船の壁からライオンの顔が飛び出てて、

そのライオンの口からモーモーと温泉が出ていたんじゃ。

だから湯煙で周りが見えなかったんじゃ。


そんな、ある日のことじゃった。

更衣室にスリッパもなく、

今日はワシだけの貸切じゃ!と、

モーモーと湯煙の中に入っていくと、

湯船の向こう側に、黒ぽっい服と帽子を被った人がお湯に浸かっているように見えた。


その時、思い出した。

よく兵隊さんが、傷を癒しにお風呂に入りにきてるのを何人か目撃していることを。



目を凝らして見ると、

その兵隊さんらしき人が見えなくなった。


ワシの体は温まるどころか、

恐怖でひえてしまった。


それは戦後20年経った頃の話じゃ。


画像:ライオンの注ぎ口から源泉が。


戦いでの傷は癒せない。


*****************************

下記に参加しています。


57歳から二拠点生活スタート、60歳からの山さんぽ

55歳くらいの時これからどう生きようか?と考えた。 まずは環境を変えてみようと57歳の時東京と軽井沢の2拠点生活を開始。 2022年60歳になり今後の自分にとって大切なものは「自然と健康」であると、山さんぽを始める。 (東京を拠点とした「TOKYO 山さんぽstyle」プロジェクトの企画運営)